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「投影」や「転移」って聞いたことありますか?
どちらも心理学用語なのですが、この意味を理解すると、他人の深層心理がよくわかって面白いかもしれません。
事例を使って、分かりやすく説明しますね!
自分で自分を幸せにし、お互いを高め合える夫婦・恋人関係を築く!!
パートナーシップ心理学アカデミー代表 湯川央恵です。
「投影」とは
さて、よく心理学用語で使われている「投影」。
分かっているような、分からないような言葉ですよね(笑)
簡単に言うと、自分の中にあるものを、外側の人に映し出すことで、自分の中にあるということに全く気づいていない状態のことを指します。
投影の事例ー根拠のない被害者意識
たとえば、他人のちょっとした言動に対して「バカにしているに違いない!」と感じるAさん。
これは実際に、その他人の言動がバカにしている、というよりも、自分が些細なことで相手を見下したりバカにしているから「そう見えている」というのがその例。
ホントは自分が持った感情なのに、それを他人が持っていると錯覚して、根拠のない被害者意識を持ってしまうわけです。
「転移」とは
これに似たもので「転移」というものがあります。
自分が過去に父や母などの養育者との間に持った思いや感情などを、別の人に向けることを指します。
転移の事例ー何度も繰り返し再現
例えば恋人に対して。
幼い頃自分が望んだほど、親から充分愛してもらえなかったと思っている場合、大人になって素敵な人とお付き合いすることになっても、今度は恋人からも充分愛されないと思ってしまう、というのが転移になります。
親との間で未解決な問題を、一番信頼している人との間で、何度も繰り返し再現してしまうんですね。
特に、本来親に向けられるものを、私たち心理セラピストに向けられる、というのが転移としてありがちなパターンなのです。
「投影」と「転移」の違い
分かりやすくまとめると
投影—自分自身を他の誰かに重ねて見ること
転移—他人を他の誰かに重ねて見ること
似てるけどちょっと違う。どっちが転移でどっちが投影なのか?それを明確にする必要はなくて、どちらにしてもその状態から抜け出すことが一番!!
転移具体事例ー自分が正しい事を認めさせる
ここでAさんの「転移事例」をお伝えしましょう。
Aさんは子供の頃、親から「お前が悪い」と言われ続けてきたと感じていました。
そのことへの怒りや不満を抱えたまま大人になった時、何が起こるようになったのか?
上司からや自分の人間関係の中でも、同じように「お前が悪い」と厳しく叱責される、という状況が繰り広げられていたんですね。
セッションで明らかになったのは、Aさんのこんな思い。
そういう人間関係を何度も何度も繰り返し作ることで
最後には「私が正しい」ということを、認めさせようとしていた。
つまり「お前が悪い」と言われてきた事で、幼い頃に感じていた「親に何とか自分を認めてもらいたかった」という、強烈な思いがずっと燻り続けていたんですね。
それでAさんは無意識のうちに、この思いを「お前が悪い」と言わせることによって、叶えようとしていたんだ、ということ。
つまり理不尽な言いがかりとも言える「お前が悪い」があればあるほど「私は正しい」と言えるわけですねー。
いやー、それってホントしんどかったと思います。自分も周りも、ね。
しかも無意識にそうなっていたのですから…。
解決方法
つまりAさんがやるべきことは、2つ。
1つめは、他の誰かから「あなたが正しい」と認められることではなく、また認めさせることでもなく、自分自身が自分を認めてあげることが大切だということ。
2つめは、そもそも「お前が悪い」と言われた事に対して「認められていない」と思った、その言葉の定義を検証すること。
なにをもって「認められない」と思ったのか、ということです。
認められないと思いこんだカラクリ
セッションでAさんの持つ「認められる」という定義を再確認したところ、驚く定義になっていることが明らかになりました。
それは
認められるとは「私のやる事に全てOKを出す事」という意味があったんですね。
これにはAさん自身も驚かれました。
そこからAさんは、これまであったいろんな苦しさは「私のやる事に全てOKを出すべきなのに、そうしてくれないということは愛されていないんだ!」という不合理な定義からくる解釈から来ていることに気づかれたんですねー。
苦しみの渦中に居る時って、こんがらがって大変なのですが、実は実は、こんなふうにとってもシンプル。
でも親や上司、周りの人を批判して攻撃しているうちは、そのような偏った視点に自分がなっているとは全く気づきませんし、自分の心の奥にある敵意や攻撃性を、他人にぶつけている、などとは、全く気づけませんからね。
非現実的な「転移」「投影」
相手を批判し「自分は正しい!」と言いたい時ほど、実際は、自分のその不合理性や加害性には全く気づかないのです。
むしろ自分の感情や行動が正しく正義に基づいたものだ!極めて現実的なことだ!と信じていますからね。
しかし「転移」も「投影」も不合理で非現実的なもの。
その源は、どちらも自分の親に対してどう思っていたのか。それがルーツになります。
その満たされなかった思いを解決しない限り、人間関係に問題を起こしやすかったり、生きづらさや苦しみを抱えて生きる事に繋がりますからねーー。
やっぱり親との関係は、幸せな現実を手に入れるためには、いつかは向き合う必要が有りますね。
この方も自分に向き合い幸せな未来を手に入れた方です。