目次
一般社団法人 人間関係心理学協会 代表理事
パートナーシップ心理学アカデミー 湯川央恵です。
先日、「杜人」という環境再生医 矢野智徳氏のドキュメンタリー映画を見ました。
理由は2つ。
1、信頼している方からの「激推し」だったこと。
2、一般の映画館では上映していない自主上映だったこと。
実は、これまでみた自主映画ってどれも大当たりだったの。それで内容も全くわからずでしたが、白浜まで鼻息荒く出かけました♡
映画「杜人ーもりびと」について
始まると、派手な音楽もなければ、キラキラした画もない。
ですが淡々と進む映像とテロップに、何度もハッとさせられました。
杜人ー環境再生医とは?
まず「環境再生医」って何でしょう?聞き慣れない言葉ですよね。
このドキュメンタリーの主人公である矢野さんは、元々は造園家だったそうなんです。
ところが、
その土地の草木が喜ぶことをやってあげ、それが土地の生物環境にも大地の環境にも、一番良い結果をもたらすことから『環境再生医』と呼ばれるようになったようです。
杜人の見どころ①ー風と水の通り道を作る
例えば、冒頭、元気のないガジュマルの木のシーン。
そこで矢野さんが「風と水の通り道を作ってあげるだけでいいんだよ」と草に手を入れ、子供が持つような小さなスコップで縦穴を開けると、あら不思議!
滞っていた水が、弧を描いて海に向かって流れていくんですね。
「これだけで、ガジュマルは息を吹き返すんだよ」と。
実際、ガジュマルがホッと一息ついたように見えました。
一部の滞りが解消されることは、その土地滞りが解消され、地域の滞りが解消され、地球の滞りが解消される。一部は全部。全ては相似形で、フラクタルな関係性だということを、改めて感じましたね。
杜人の見どころ②ー1番自然な状態は何か
ガジュマルだけでなく、矢野さんがやっていることは、草木や土地が一番自然で居れるように手を貸すこと。
それに対して 草木や土地が、矢野さんに応えている。私にはそう見えたんですよね。
葉っぱの形と、その木の形を同じに剪定することで、木が生き生きする。
自然界がもっとも「あるべき姿」であるのが、フラクタルであること。これが一番自然な形なんですね。
杜人と雑草
また、なるほどと思ったのが、雑草の取り扱い。
矢野さんは、人間からは忌み嫌われている存在でさえ、根元から刈り取るようなことをしません。
雑草に合った風を通してやると、雑草が暴れずに静かになるんだよ。
私たちは邪魔だと思えば、根元から刈り取りますよね。
でもそれだと余計に暴れてしまう。その結果、根が太く土が固く締まり、大雨が降ると一気に崩れやすくなる。
ネガティブを否定したくなる思い
それを聞いた時、人も全く同じだなあと思いました。
怒りや嫉妬、不安、恐怖などの感情は、できれば感じたくないし、自分の中から追い出したい感情かもしれません。
でもそれを追い出そうと、感じないようにしたり、ない事にしたりするほうが感情が暴れ回り、余計に長引かせてしまう。
そして、ない事にした分、心がコチコチに固まり、自分の感情にすら気づけず、ある時、一気にメンタルが崩れてしまう、なんてことは、よく聞く話。
だから感情を、排除せず、認めてしっかり受け止めてあげる事って、超大事。
邪魔な感情なんて、本当はないのです。
ちゃんと認めて、受け止めてあげれば静かになるのですから。
杜人の名言ー自然界は流線形が常
さらに、特に心に残ったのは以下の言葉
自然界には直線や直角は存在しない。
流線形であるのが常
今私たちの周りにある川は、護岸工事でセメントで固められ、おまけに流線形ではなく直線的な風景がほとんど。
でも、昔の川って蛇行してましたよね。
近年、豪雨による土砂崩れや、河川の氾濫の被害が各地で起きてしまったのも、護岸工事によるセメントやアスファルト、U字溝で水と空気の通り道を塞いでしまったことが、大きな原因の一つではないかと矢野さんはおっしゃっておられました。
人生に蛇行を持つことを許す
私たちの中にも
「蛇行より真っ直ぐが良い」
というような思い込みがあるように思うのです。
何か修得するにも、寄り道せずに一気に理解して、一気に変化したい!と思うかもしれません。
でも、蛇行することがダメではなく、蛇行を否定し「最短で一足飛びにいくことが良いことだ」というような思いにこそ「本当の問題」が隠れていると思うんですよね。
失敗しながら、
あちこち頭を打ちながら、
そして寄り道しながらでも、確実に前に進んでいく。
そして様々な体験を通して、
より深く、人としての厚みや経験値が出来る。
それって、真っ直ぐに進むより、
ずっとずーっと豊かな人生
だと私は思うのですよ。
だから蛇行もOK
ネガティブな思いもOK!
ちゃーんと意味があって、それがあるんですから。
まとめ
ということで、今日のまとめ。
1、ネガティブ感情は否定しなくていい
2、蛇行の人生には「豊かさ」という良さがある
今日は、映画から湯川の感じたことをシェアしました。
ここまで読んで「じゃあ杜人ってなんやねん!」と思った方。それはこの映画のとても大事な部分なので、是非実際に映画をご覧になってください。なるほど、と心に沁みるかと。
ではまた!
湯川央恵